利子所得・配当所得
利子所得
1 利子所得とは
利子所得とは、銀行預金や社債の利子並びに合同運用信託及び公社債投資信託等の収益の分配に係る所得をいいます。
2 利子所得の計算方法
利子所得は収入金額(源泉徴収により所得税が天引きされている場合には、源泉徴収される前の金額)がそのまま利子所得の金額になります。利子所得の計算上、控除できる必要経費等はありません。
3 源泉所得税の計算方法
利子所得は、原則として支払いを受ける際に一律20%(所得税15%、地方税5%)の税率を乗じて計算した税金が源泉徴収され、これにより納税が完結する源泉分離課税の対象とされています。
源泉分離課税とは、他の所得と分離して、支払の際に支払者が一定の税率で所得税を徴収し、それで所得税の納税が完結するものです。源泉分離課税により納税が完結しているものについては、総合課税に戻して申告することができませんので注意が必要です。
4 総合課税の対象となる利子所得
国外にある銀行から受けた銀行預金の利子等については日本の法律の施行地外のため所得税が源泉徴収されていませんので総合課税の対象となります。
5 非課税制度
利子所得には、次のような非課税制度があります。
① 障害者等の少額貯蓄非課税制度
イ 障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度(マル優)
元本350万円までの預金利子について非課税
ロ 障害者等の少額公債の利子の非課税制度(特別マル優)
元本350万円までの少額公債の利子について非課税
これらの制度の適用を受けることができる人は国内に住所を有する個人で、かつ、遺族年金を受けることができる妻である人、障害者手帳の交付を受けている人など一定の要件に該当する人に限られます。
② 勤労者財産形成住宅貯蓄及び勤労者財産形成年金貯蓄(いわゆる財形)
イ 勤労者財産形成促進法に基づくいわゆる財形住宅貯蓄
ロ 勤労者財産形成促進法に基づくいわゆる財形年金貯蓄
イ+ロの合計額が500万円までの利子等について非課税
この制度を利用できる人は国内に住所を有する勤労者で一定の要件に該当する人に限られます。
③ 納税貯蓄組合預金の利子、納税準備預金の利子やいわゆる子供銀行の預金等の利子については非課税です。
配当所得
1 配当所得とは
配当所得とは、株式や出資に係る配当金や投資信託(公社債投資信託及び公募公社債運用信託以外のもの)及び特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得をいいます。
2 配当所得の計算方法
源泉徴収される前の収入金額 - 株式等を取得するための借入金の利子 = 配当得の金額
注)株式等を取得するための借入金の利子については次によります。
イ 株式等の配当所得を生ずべき元本について、その年における保有期間に対応する部分の金額です。
ロ 譲渡した(売却した)株式に係るものは、譲渡前の期間に対応する部分も含めて控除することはできません。
例)当初保有株式 5000株
売却株式 1000株
今年支払った借入金利子の総額 15万円
控除できる借入金利子
15万円×(5000株-1000株)÷5000株=12万円
ハ 確定申告不要制度を選択した配当に係る借入金の利子
3 配当所得の源泉徴収
配当所得は、次に掲げる区分に応じて所得税が源泉徴収されます。源泉徴収された所得税はその年分の所得税の計算において納めるべき税額から差し引きます。
① 上場株式等の配当等の場合
イ 平成21年1月1日から平成25年12月31日までの間に支払を受ける配当等
10%(所得税7%、地方税3%)
ロ 平成26年1月1日以降に支払を受ける配当等
20%(所得税15%、地方税5%)
大口株主(発行済み株式数の5%以上)を有する個人が受ける配当等については次の②によります。
② 上場株式等以外の配当等の場合
20%(地方税なし)
4 確定申告
配当所得は次の区分に応じ課税されます。
① 総合課税
確定申告不要制度及び申告分離課税制度を選択したもの以外の配当等については総合課税により他の所得と合計して所得税を計算します。また、総合課税の対象とした配当等については配当控除の適用をうけることができます。
② 確定申告不要制度
配当所得のうち下記のものについては納税者の判断により確定申告しなくても良いこととされています。これを確定申告不要制度といいます。
確定申告不要制度の適用を受けるかどうかは、1回に支払を受ける配当等ごとに選択することができます(源泉徴収選択口座内の配当等については、口座ごとに選択できます。)。
イ 上場株式等の配当等(大口株主を除く)
金額の多寡にかかわらず、確定申告を要しません
ロ イ以外の配当等
1回に支払を受ける金額が次の金額以下の場合には、確定申告を要しません
10万円×配当計算期間の月数(注)÷12
注)この期間が12か月を超える場合には12か月とし、1か月に満たない場合には1か月として計算します。
③ 申告分離課税制度
イ 平成21年1月1日以降に支払を受ける上場株式等に係る配当等(大口株主が受けるのものを除く)については、総合課税の他に申告分離課税を選択することができます。申告分離課税制度は、申告する上場株式等の配当等の全額について選択する必要がありますので、総合課税と併用することはできません。また申告分離課税制度を選択した場合には、配当控除を受けることができません。
ロ 上場株式等に係る譲渡損失がある場合
平成21年年分以降において、上場株式等に係る譲渡損失の金額がある場合又はその年前年以前3年内の各年に生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額のうち、前年以前で控除されていない損失がある場合には、一定の要件のもとに申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得の金額を限度として控除することができます。